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第二回 Happinessセミナー「失敗する1on1成功する1on1」前編

第二回 Happinessセミナー「失敗する1on1成功する1on1」前編 写真

2021年5月19日に弊社主催のHappinessセミナーと題したウェビナーを開催しました。本セミナーは、組織開発に取り組む人事・マネージャー・経営者様を対象とした学びの場として毎月1回開催し、多角的な面から組織開発のポイントをお伝えしていくことを目的としています。また、聞くだけではなく、同じ課題を抱えた参加者同士のグループトークを交えた意見交換を行うことで、短時間で学びを定着させると同時に、『他社はこんな取り組みをしているのか』『自社の施策は成功しているのだな』などの気づきが得られる、組織の枠を超えた横のつながりが生まれるように設計しています。

 

セミナーの流れ

第2回目のテーマは「失敗する1on1 成功する1on1」というテーマで、組織開発のプロフェッショナルである(株)LINEのPeople Partner室マネージャー・小向洋誌氏をお迎えし、弊社代表羽山とのトークライブを展開。参加者同士のブレイクアウトルームでの自己紹介・意見交換の時間をはさんだのち、質問コーナーを設けるという流れで行われました。今回はトークライブの前半部分を書き起こしでご紹介します。

 

自己紹介

 

小向:今日失敗する1on1 成功する1on1のお話をさせて頂きます。仙台在住で、その縁でPalletさんと繋がらせていただいています。25歳で会社を興して潰した経験が振り返ると自分の価値観を創っているだなと思います。何故マネジメントや組織開発にこだわりがあるのかというと、やはりここの経験が欠かせません。ヤフーに入ってからは15年のうちの半分はEコマースの営業や企画をやってました。そこで2012年に会社の体制が変わる時に手を上げて人事に移動し、35歳で初めて人事というものに足を踏み入れています。なので今でも「人事の人ですよね」と言われると気恥しい気持ちになってしまいます。

 

僕は人事って3階建てのようなイメージなですけど、1階部分はペイロール。お給料を支払う、法律を守るというトコロですが、そこに関してはまったく知識がありません。2階部分が採用・異動・評価・登用・教育など、どの会社でも必ずやらなきゃいけないことなですけど、やったほうが会社が良くなる部分ですね。3階部分が最近出てきている組織開発とか、どうやったら幸せに働けるのかという部分になってきます。どれが大事でどれが大事じゃないっていうことではないのですが、1階部分がないのに2階3階部分が成り立つとは思ってないので、ペイロールや社会保険の部分もめちゃくちゃ大事だと思っていますが、そこはプロフェッショナルに任せています。なので僕は2階建て部分3階建て部分のところの人事を扱っているところの人間であります。

 

得意分野としては1on1による全社設計や組織開発、分かりやすく言うと制度設計やタレントマネジメント・サクセッションプランが自分の得意領域です。なんで僕がこんなことをやっているのかというと、あの時自分が小さいながらに社長をやっていた時、パートナーがいたらどれだけ心強かったことかと感じたからです。中小企業の社長さんや大きい会社の中間管理職の方も、皆さん中間管理職や社長が得意だっていう人ってあまりいません。周囲の方よりお仕事が出来るから抜擢されているのですが、上に上がれば上がるほど組織や人の悩みって増えて行くです。けれど正直、皆さん組織や人のことで悩み過ぎだなって思ってしまうところがあって、本来的には事業に集中してほしいし、世の中びっくりさせるようなサービスを提供したり、売上げを上げることにまい進してほしいと思うんです。

 

そこに組織・人の悩みっていっぱい出てくるですけど、『自分が横にいるからあなたは安心して事業に集中してくれ』っていうことがやりたくてビジネスパートナーという道を選びました。人事もやたらアカデミックな人事とかも世の中にはあるですよね。人事に移動する前は『また人事が変なこと言って来たよ』『また人事がアカデミックなことを言っているよ』って思っていました。自分がいまその立場に立ってみて、アカデミックが苦手だということもありますが、かなり極端にビジネス寄りで物事を考えているなという自覚があります。それは元々の考え方のクセもありますし、そのスタンスを取っておいたほうが現場からウケるからということもあります。なので苦手な勉強も死ぬほどやってますし、それを翻訳して現場に伝えるというのが僕の仕事だなと自覚しています。LINEという会社の中の人事にいて、それをどうやって全社で設計していくかという顔と、副業としてパートナーとしてビジネスをやっていくという2つの顔があるですけど、どっちも面白いなというのが今の僕の現在地です。

 

僕の1on1との出会いですが、僕が人事部へ異動し、のちに『ヤフーの1on1』という本の著者になられた本間浩輔さんと初めて出会った時です。『全社で1on1ミーティングを始めるから』って言ったのが本間さんなですね。僕がやりたいって言ったわけじゃないです。そもそも、そういうやり方があることを知りませんでした。『全社で1on1をやる。そのやり方を小向考えろ』って言われたのが最初なですよね。『全社に浸透させるってもう言っちゃったから、それを定義して、どうやってマネージャーにインストールして、どうやって文化に浸透させていくか考えろ』って言われました。で、一生懸命考えて提案すると『お前これでうまく行くと思ってんのか』と返されて、また提案して返されて…という繰り返しをずっとやっていた感じです。この本には良いことしか書いていないのですが、その裏側のですね、これは失敗だったなと思うところも正直あるんですね。なので今日はその部分も大事な所だと思いますので、お話しさせて頂きたいと思います。 

 

失敗する1on1 成功する1on1

小向:まず、良い1on1って何か?ということなんですけど、メンバー(クライアント)が「いい時間でした」って言ってくれたら、それはもう良い1on1だと思っています。ただ問題は、終わった後にすぐにその場でそういうかは分からないです。終了後すぐに、『あーすごいなるほど』『考えが整理出来ました』『すっきりしました』と言われるようになることを、ほとんどの人は期待していると思うですけど、『喋る前よりもやもやします』となることもあります。もっと言うと上司部下の場合、ネガティブフィードバックなんかもそこに入ってきますから、『なんであなたにそんなこと言われなきゃいけないですか?』という怒りの感情なんかも扱わなきゃいけないんですよね

 

ですから30分の1on1なら30分で良くなるとも限らないですし、下手すると『3年前に言われたあの言葉が今でも動いています』と、時間差で効果が出ることもあり得るわけです。その辺の覚悟を持たないと、ひとつ一つの30分がいい時間になるようにやろうとすると、どうしても迎合してしまいますし、相手が気持ちよくなることばかり話してしまう。本質的に相手の為になるという事はどういうことなだっけ?って言う事が大事なんですよねただ単純に悩みを聞いてあげたらいい時間なのか。これは厳しいフィードバックをしなければいけない時間なのか。相手がコンフォートゾーンにいるところを少しストレッチしなければならないのか。というのはその時々や、相手と自分の関係や、相手の熟達度によって変わってくると思います。それを総称して『自分にとってためになる時間でした』と言ってもらえたら嬉しいですよね、という話なんです。

 

 

 

羽山:コムさん一個教えて欲しいのですが、今回ご参加頂いている皆さんって基本的には1on1って何かということをご理解していらっしゃる方が多いのですが、改めてそもそも1on1ってなに?みたいなところをもう少し深掘りたいなと思っています。その切り口で、例えば先ほどヤフーさんで本間さんがいきなり[ 『全社で1on1ミーティングを始めるから』と仰ったその背景や、どんなことを解決できる手段としての1on1なんですか?ということを教えて頂けると理解が深まるなと思っております。 

 

 

小向:ありがとうございます。ヤフーで言うと『背中を見て覚えろ』っていうタイプのマネージャーが多いことが課題だったんですね。簡単に言うと社員の主体性が出ないということがあったんです。組織開発をやっていると沢山のマネージャーと会うのですが、『社員に主体性がないです』って8割のマネージャーが言うんですよ。ちなみ に8割の部下がなんていうかというと『上の人が戦略を示さない』って言うんです。

 

 

 

羽山:「めっちゃわかる」 

 

小向:これ完全に組織あるあるなんですよね。ある笑い話があるのですが、昔『うちの部下は主体性がないんで、”主体性”って本を自腹で買って配ったんですよ』というマネージャーがいたんですよ。それを配られた側の気持ちってどうですか?馬鹿かって言われているのと一緒なんでよね。お前イケてないって言われているのとほとんど同じなんですよ。だからよく氷山の一角といわれますけど、主体性がないということの裏側に目を向けないと解決できないはずなですよね。求められていることが高すぎていることが要因なのか、戦略が見えないことが要因なのか、評価制度に納得がいかないことが要因なのか、そこが掴めないと手が打てないんですけど、そこを見ないで手を打つから主体性って本を配るということになる。ヤフー社の場合は問題が中間管理職だという課題設定をしてコミュニケーションを全員に覚えろ!ってやったのが背景なんですよね。

 

コミュニケーションの本質

 

羽山:なるどほ。何かしらの課題がそれぞれの組織にありますよね。 その色々な課題の解決は、まず管理職がメンバーとコミュニケーションを取るという事の量と質を増やすということが大事な肝で、その手段として1on1なんだよということですね。 

 

小向:仰る通りです。量と質の話で言うと、あきらかに量だと最初に定義しました。言うならば回数だという話ですね。コミュニケーションは回数だと定義して、一回の丸一日の合宿みたいなことを2人でやるよりも、毎日5分でいいから話そうと。そこから始まった感じですね。 なので後で話しますが施策浸透っていくつかパターンがありますが、最初は完全にトップダウンで、ある日突然『1on1ミーティングっていうのをやりなさい』という乱暴なメールから始まりました。やりたい人からやった、という感じではないですね。 

 

 

羽山:もう有無を言わさず、会社の命令でやるっていう。

 

小向:そうですね。これによる良さと悪さはもちろんあるんですけど、ボトムアップが100%良くて、トップダウンが100%悪いとかは全く思わないですね。会社の背景や抱えている課題・達成したい時間軸とかによって選ばなきゃいけないと思っています。で、何もコンセプトがないままやらせても質が上がらないので、経験学習モデルを全管理職にインストールしました。学びには、具体的な経験をしてそのあとに内省し、概念化・持論化をし、また新しい実践をする。という大人の学びはこういうものだというモデルがあるのですが、1on1はこの深い内省をするところと、自分の抽象化・具体的概念化をするところだ位置付けました。分かりやすく言うと、子供が湯気が出ているやかんを見て、面白そうだと触って 火傷をする。その時になんで火傷をしたんだろうと考えて、湯気が出ている物には触ってはいけないと学習する。すると次回からは触らなくなるっていうのがこのサイクルで言っていることなんです。

 

仕事でいうと失敗したときに反省して「次からこうしよう」というフレームワークはいっぱいあるので、なんとなくそういうふうに生きてると思うんですけど、例えば成功した時はすぐに飲みに行って乾杯とかしちゃうわけですよ。でもその前に『なんで上手くいったんだと思う?』という、この一言が添えられるかどうかなんですよね。必ずしも本質的には1on1じゃなくてもいい、質が上がるかどうかだと思うんですね。『おはよう、髪切ったね』じゃなくて、『おはよう、昨日の仕事うまく行ったけどなんでうまく行ったの?』とか、『もっと上手くできたと思うんだけど、どうすればいいと思う?』とか、『一週間前に戻るとしたらどんなことから始める?』とかの一言が添えられるかどうかが、おそらくコミュニケーションの本質だと思います。

 

それをいきなり質上げろって言われてもできませんから、無理やり回数を用意して、1on1でこういうのをやってくれと伝えたのがヤフーのコンセプトです。もう少し具体的に言うと、マネージャーがコミュニケーションをする時は、3つのスキルをいつも念頭に置いて下さいという話をします。1on1ってコーチング的なアプローチが目立つんですけど、必要によってはティーチングもフィードバックも必要だったりするんですよね。

 

マネジメントに必要なコミュニケーションの3つのスキル

 

相手が自分より知識・経験・スキルがないときは、いつまでも『どうしたらいいと思う?』というコーチングアプローチばかりしていても出てこないので、『いつまでにこうしてください』って言うティーチングの方が早いんですよ。フィードバックというのは、自分より熟達している部下や年上の部下とかに対して、『自分に教えられることはないからマネジメントできませんて』と思ってしまう時、『私から見たらこういうことが出来ますよ』と、行動に対しての評価を伝え返す、ということです。心理学用語で言うと仮面をかぶると言いますけれど、今の場面はどの顔でこの人に相対しようかと、なんとなくやるのではなく自分で選んでいるというのは大事です。なのでいつでもティーチング・コーチング・フィードバックという3つのスキルを念頭に置いて欲しいです。

 

なのでマネジメントに求めれているスキルってコーチングだけではないですし、いつでも有効弾ではないというのが僕のヤフーでの失敗談です。当時はティーチ・コーチ・フィードバックのコーチングの部分だけをめちゃくちゃインストールしまくったんですよね。結果いいことと悪いことが起きましたという話です。ティーチングとコーチングの量って、教える量が多い場合は相手の経験が少ない場合。相手の経験の熟達度合いが進んでいる場合は、引き出す量が多くなるというイメージでいるといいんじゃいのかなっていう感じがします。ちょっと乱暴ですけどね。 

 

 

 

次回案内

いかがだったでしょうか?前編では1on1とは何か?マネジメントに必要なスキルと使い分けなどを中心にお話しいただきました。後半ではさらにディープな『失敗する1on1』をお話しいただいた部分をお届けします。後半レポートはこちらからhttps://pallet.work/news/seminnar/2021/06/03/happiness-seminer02-2/

 

6月度の第三回Happinessセミナーは、山形県で創業70年の老舗旅館である「株式会社 古窯ホールディングス」のグループ経営支援室で課長を務め、現在進行形で弊社の組織開発プログラムを導入し、日々改革に従事しておられる大井洋平氏が登壇。他では聞けない、実際に現場で起きているリアルな変化や課題を語っていただきながら『管理職・マネージャーが抑えておくべき3つのこと』というテーマでお届けします。管理職・マネージャーを育成に課題を持つ方に、必要な情報をお届けします。ぜひ奮ってご参加ください。

 

開催日:2021年6月16日(水)16:30~18:00

場所 :ZOOM

参加費:無料

詳細・お申し込みはこちらから→https://peatix.com/event/1920626/view